60兆円もの税金を投入して救済される銀行なのに、企業の血液となっていた運転資金の手形貸付を一方的に打ち切ったり、不況対策のための緊急公的融資を自分の銀行貸付返済に有無をいわさず充当してしまうなど、銀行の態度急変に倒産に追いやられる企業が増え続けています。
 一昨年7月の日産生命の破綻処理は、年金額・保険金額の最大72パーセント減という損失を契約者(加入者)に押しつけました。それだけに止まらず、加入当時、全国で163の銀行・金融機関が日産生命と業務提携し、「信用」と「安心」を旗印に、銀行法・募取法を無視して、保険契約と提携ローンを急増させ、儲け主義に走ったことが被害を増大させました。「保険ローン」皆さん、思い当たることがお有りでしょう。保険ローンという名の銀行借入金。しかし、破綻後には「頼まれたからお金を貸したダケ・・・」「ローン債務者の自己責任」などと、手のヒラをかえす態度をとって、責任を回避し続けているのは、変額保険や不動産押し売りの提携ローンによる被害の場合と全く同じです。 一方、裁判に訴えた変額保険などの被害者は、裁判所が「銀行性善説」(銀行が悪いことはしない。信用できる者)の考え方を崩さない判決のために、大部分が敗訴となり、競売のオドシに脅える被害者まで出ているのが現状だそうです。 そこで、この現状を打破し、銀行業界、裁判所などに事実に基づいて、考え方を変えさせる行動のキッカケとして、銀行の貸し手責任を問う2時間ノンフィクション劇場「騙す」の上演実行委員会が企画されたそうです。  このイベントは、「金融消費者保護法の立法化をめざす運動」を拡大していく契機にもなると、実際に行われた事実経過を「日産生命、あさひ銀行・東京三菱銀行・三和銀行・住友銀行・第一勧業銀行・富士銀行・さくら銀行・東海銀行、横浜銀行・千葉銀行、安田信託銀行、東京相和銀行そして東日本銀行被害者の会」が明らかにし、国会にも反映させるため、多くの国会議員にも参加しやすい日比谷公会堂が選ばれました。

「経営の法的責任」を認める  
 住友銀行、住専訴訟で和解 東京地裁

「金融業には公共的使命がある。法律に違反しなければ何でもいい、というのはおかしい」と、旧住専各社にサギ的な「紹介融資」をした大手銀行のモラルと責任を追及していた住管機構(中坊社長)が、2月1日、住友銀行との間で和解いたしました。 
 住銀は「(紹介融資)を含む業務姿勢に一部行き過ぎがあった」と一定の責任を認め、「バブル期の経営の陰の部分を引きずったままでは、顧客の信頼を勝とることは難しい。住銀が和解という形で一つのけじめを示したことで・・・銀行自らがバブル期の経営のあり方(モラルとルール)を問い直すことにもつながる可能性がある」(朝日)と解説されています。中坊さんも「国民の声の勝利。経営者の頑なな姿勢を変えさせた。他行との交渉にも影響がある」との評価をしています。

被害者救済への超党派議員の会発足


−モノにはPL法、ヒトにも保護法を−
1、金融ビックバンは、各種の新型金融商品を生み出しましたが、その反 面、情報公開等の消費者保護の観点が十分でないため、多くのトラブル を生む可能性があります。  金融ビックバンに不可欠なインフラとして「金融消費者保護法」の1 日も早い成立を期します。
2、また既に、金融機関の過激な融資と結び付いた各種の金融被害者が輩 出している事実もあります。 これらの実態解明、被害者救済について も尽力します。
 以上は、昨年秋に発足した「金融消費者保護法の制定する議員の会」の設立主旨の(要約)だそうです。
 会長は小沢 辰男(改ク)、副会長に自民2、民主1、共産2、事務局長に海江田 万里(民主)、顧問に久保 亘という超党派の集まりで議員立法を目指しているそうです。

 聞いて、調べて、驚いた! 政・官が隠している「銀行規制の実態」
 
ホントに景気が良くないですネ。 その最大の原因は二つ。消費税増税と金融危機(不良債権処理、貸し渋り、低金利など)ですね。 その金融危機が表面化したのは一昨年の11月。 三洋証券、拓銀、山一證券などを倒産させ?ました。  今は、長銀救済へ何十兆円になるか判らない税金投入をめぐるゴタゴタ−・−・−・−。しかし、そもそもの原因や責任の所在は、何も明らかにされていません。 「政府与党や金融行政(大蔵・日銀)の責任になるから隠蔽するのだ」との指摘もされています。 
公開すべき「責任の所在」
 
 不景気を招いた金融行政の実態がナルホドと判る記事を読みました。 こともあろう?に、大蔵省発行の広報誌「ファイナンス」10年8月号に掲載された岩原紳作東大教授の講演です。
 「まず・・・・銀行法一条(目的)を見ますと、銀行規制について行政当局に与えられた課題というのは、信用維持、預金者保護、そして銀行業務の健全かつ適切な運営ということであります」 「しかし、・・・大蔵省が現実に果してきた役割は、それを遥かに超えたものであったのではないか。(高度経済成長では結果オーライということもあって)法律には、特に根拠がないのに、金融機関の箸の上げ下ろしにも大蔵省の了解がいるという事態が、少なくとも最近までには存在したということではないかと思います」
  (岩原教授)が「大蔵省の規制の実態を調べて驚いたことは、通達の下に事務連絡があり、事務連絡の下に口頭事務連絡がある。しかも口頭事務連絡といいながら書面に残しているものと、本当に書面にも残らない事務連絡がある。 これになると、そもそもあるのかないのかということもハッキリしない。一部の人だけが知っている、しかも、他の事務連絡等と関係なく出されているものもありまして、果たして整合生があるのかどうか、そもそも全体が、どういう姿になっているのか、というのがよくわからない。これは非常にまずいわけでありまして、当然行政に対する不信感が生じますし、そういう非常にパーソナル(個人的)な行政決定がなされますと、担当者が代わると扱いも代わってしまう、非常に属人的なルールになってしまうという問題が出てくるのではないか。・・・したがって、ルールの透明化、書面で残し公開するということが、まず最低限必要だろうと思います」 
 法律の目的を忘れ、不透明な銀行規制をつづけた責任をタナ上げして、「税金投入が必要だ」と、納税者にシワヨセするのはインチキですよネ!

「騙す」のあらすじ
 
 その1、変額保険の被害  ある日、いつも来ていた三菱銀行員が、小林家に明治生命の勧誘員を連れて現れた。 「相続税が高騰して大変だから、その対策にはこれが一番です。自己資金なしで、金利も含めて保険料全額を三菱銀行が貸します。その借金は死んだ時に保険金で払ってもお釣りがきます」というものだった。  ところが、この保険は変額保険。 何年後かに裁判になって銀行員は証言する。まるで嘘で固めた証言を!
 その2、不動産共同投資の被害  あさひ銀行の応接室に篠崎夫妻は呼び出され、銀行員からホテルオーナーズシステムなるものを勧誘された。  ところが、この話には裏があった。 もともと五輪建設が、あさひ銀行にホテルの建設資金の融資を申し込んだのだが、この建設会社は資産状態が良くない企業であったことから銀行側は融資を断わった。その代わり資産のある個人客を連れてくれば、その客に融資するから、その金を五輪建設は使えば良いという提案をした。  借り手を迂回する「逆迂回融資」である。 あさひ銀行は、お客たちに「五輪建設は当銀行がメーンバンクとしてついているから、潰れるようなことは絶対ない」といっていたのに建設会社は倒産し、残ったのは借金の山、あさひ銀行は担保価値の下がったホテルに代わり、自宅まで競売をかけてきた。


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